「あとは、君がどう生きるかにかかっている」 中村天風師のことば
- 4月26日
- 読了時間: 4分
人間というものはな
まずはじめに感謝してしまえばいいんだ
理屈も順序も資格もいらん
ただ
感謝する
それが人間の心をまっすぐに
強く正しく育てる第一歩なんだ
わしはこれまで
病を克服し
戦地を駆け
事業に携わり
多くの人の悩みを聞いてきた
その中で確信を持って言えることがある
どんな境遇にあろうとも
ありがとうと心の底から言える人間は
必ず運命が好転するということだ
こんな苦しい時に感謝なんてできるか!
と誰かが言うだろう
だが
それは逆だ
感謝するからこそ
苦しみの意味が変わってくるのだ
人は苦しみの中に光を見い出す時
本当に目が開かれる
そして
その光とはまさに
感謝の心の中に宿る
わしは断言する
君はいつか
苦しみにさえ感謝するだろう
感謝すべきことが起きたら感謝する
そう思っておる人が多い
だが
それでは感謝とは言えん
ただの取引だ
わしが言っておるのは
まずはじめに感謝してしまえ
ということだ
朝
目が覚めたら感謝する
呼吸ができていることに感謝する
家がある
食事がある
家族がいる
学びの機会がある
それだけで十分だ
感謝は条件によって左右されるものではない
どんな時でも
人は感謝を選べる
感謝することで
自分の心の波を整え
運命の波に乗っていくことができるのだ
現実というのは心が先にあって
その後に出来上がる
心が先
物質が後
だからこそ
心が曇っていれば
現実も曇って見える
心が明るければ
現実もまた輝いて見える
ありがとう
という言葉は
心を浄化する力を持っておる
心が浄化されれば
自然とその人の行いが変わり
その行いが結果を変える
感謝というのは
心の姿勢だ
姿勢が正されれば見る景色も変わる
例えば雨が降った日に
鬱陶しいと文句を言えば
心は重くなる
だが
この雨が田畑を潤すと思えば
心が澄み渡る
同じ出来事でも
感謝を通すかどうかで
人生はまるで別物になるのだ
病に倒れた時
わしは死を覚悟した
肺結核と診断され
医者からはもう先がない
と告げられた
だが
師であるカリアッパの一言が
わしの心を打ち抜いた
天風よ
その病に感謝なさい
病があればこそ一生懸命
真理を考えているんじゃないか
わしは目が覚めた
感謝した
病に
人生に
出会いに
すると不思議なことに
気力が戻り
体が応え
病が後退していった
これは奇跡ではない
心が現実を変えたのだ
だから
まずはじめに感謝してしまえばいい
どんな状況でも
それが最も強く尊い心のあり方だ
人は皆
人生において試練を受ける
愛するものを失ったり
病に倒れたり
裏切られたり
努力が報われなかったり
だがな
それを不幸と思うから苦しいんだ
ありがたいことだと思えば
その瞬間に意味が変わる
失敗も傷も
全部が糧になる
感謝の念は
過去の傷さえも癒してくれる力を持っている
わしの弟子の一人がこう言った
先生
なぜ私は
こんなに辛い思いを
しなければならないのでしょうか?
わしは答えた
辛さがなければ
お前は
心の深みを知らなかっただろう
人に寄り添うこともできなかっただろう
それを感謝せずして
何に感謝する?
彼は涙を流し
背筋を伸ばして生き直した
今の世の中は
何かを得てからでないと感謝しない風潮がある
だが
人間とは本来
何もなくとも満ちている存在だ
今日は何もいいことがなかった
と嘆くのではなく
何もない一日を過ごせたことに
感謝してみよ
嵐がなかったことに
雨風をしげる屋根があることに
平凡な食事があることに
それが真の強さだ
わしは毎朝
目が覚めるたびに
ありがたい
ありがたい
と声に出すようにしている
理由などいらん
ただ生きている
それだけで感謝できる人間になりたいからだ
ありがたい
という言葉を毎日
百回口にしてご覧なさい
心が清められ
物の見方が変わる
すると
不思議なことに
目の前の現実も変わっていく
感謝をしていると
感謝できるような出来事が起こり始める
これが宇宙の理だ
今日も生きておる
そのことを
祝福して
まず感謝してしまえ
この日本という国も
かつては焼け野原から立ち上がった
わしが演説をして回った頃
多くの人々は絶望の中にいた
だが
感謝するものだけが
立ち直っていった
こんな時に感謝などできるか!
と叫ぶ者もいた
だが
そう叫ぶこと自体が
自分の心を閉ざしている証だ
心は選べる
ならば革命を起こせ
自分の心に
感謝という旗を立てろ
怒りではない
妬みではない
恐れでもない
感謝だ
感謝の中に立てば
人間はどこまでも高く
どこまでも深く
魂を輝かせることができる
話はここまでだ
あとは
君がどう生きるかにかかっている
今日
一回だけでも
感謝してみなさい
誰にでもいい
何にでもいい
ありがとう
と声に出してみよ
その言葉が心の鍵となって
閉ざされた扉を開けるだろう
感謝とは
ただの礼儀や習慣ではない
人生そのものを照らす
最も尊い光だ
だからこそ
わしは断言する
まずはじめに感謝してしまえ
そこからすべてが始まるのだ
ー 中村天風師のことば

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